2019年9月22日日曜日

日刊動労千葉 第8681号

台風15号長引く復旧
外注化撤回し要員を確保しろ!

https://doro-chiba.org/nikkan/n8681/

変革2027―全面別会社化・転籍攻撃うち破ろう

 9月9日以降、台風15号によりJR千葉支社管内の多くの路線で運行見合わせが続いた。とくに南房総地域では内房線・外房線で5日も運行が停止され、久留里線は木更津~久留里間の運行再開に20日夜までかかった。久留里~上総亀山間はいまだに運行が再開されていない。
 土砂崩れも起こってはいるが、多くは倒木や停電によるものだ。それでなぜここまで復旧に時間がかかるのか?

外注化と要員削減が最大の原因

 最大の原因は、これまで会社が進めてきた外注化であり、要員削減だ。停電が長引いた影響で踏切の安全確認ができないといった問題も起こった。だが、ここまで時間がかかった最大の理由は、明らかにJRが保守体制を放棄してきたことにある。
 保線・電力・信号通信・建築業務等の設備部門では01年段階で実作業が基本的に外注化された。電力区、通信区などを系統ごとに各支社1ヶ所に統合し、保線区も大幅に削減された。3300人以上の要員削減・強制出向が行われたのだ。
 千葉支社だけでも、保線部門で「10保線区+18保線管理室」体制を「6保線技術センター」に統合するなど、300人もの要員削減が強行された。1職場の業務が増えて超勤も増加し、ベテラン保線労働者が担当の線路状態を熟知していた経験と蓄積まで破壊した。
 また、昨年から線路設備モニタリング装置が本格導入され、「線路状態を遠隔監視できる」として徒歩による線路巡回検査が削減された。こうして、鉄道の安全を守るための体制と仕組みが決定的に破壊されてきた。JRはコスト削減と利益のために安全を放棄し、その責任まで外注会社に押し付けているのだ。
 例えば線路巡回はレールの状態を見るだけではない。線路周辺の安全についても確認している。削減すれば安全を破壊することは明らかだ。

地域切り捨て・安全放棄許すな!

 とりわけ「閑散線区」は完全に切り捨てようとしてきた。徒歩巡回は丸投げ外注化され、災害警備まで外注化されたのだ。
 会社は、地方ローカル線を「復旧より代替輸送を優先する区間」として保線区の廃止などを進めた。だが「代替」となるはずのバス路線は次々に撤退していった。すでに深澤社長自身が「不採算路線はタクシーに転換を」などと公言するまでに至っている。
 この中で、南房総地域などで復旧も代替輸送もままならない状態に陥った。今回の運行停止中も、バス代替は14日になってようやく久留里線(木更津~久留里間)で行っただけだ。地方での生活は完全に切り捨てられ続けたのだ。
 会社が「儲からない地方路線は必要ない」と外注化や地方切り捨てを進めたことが、今回の復旧をここまで遅らせたということだ。

外注化・転籍強制粉砕へ闘おう

 鉄道の安全を守るためには、保守部門の充実が不可欠だ。それは停電が長引いている東電の例からも明らかだ。
 東電は送電や配電設備への投資を91年の約9千億円から15年には約2千億円に抑制してきた。70年代を中心に建設された鉄塔の更新も先送りにされてきた。このコスト削減が長期の大規模停電を引き起こしたのだ。そうでなければ、台風の勢力が予想を超えようと、多数の電柱に加えて鉄塔まで倒れるなどありえない。
 JR本体から鉄道業務を外注化する目的はコスト削減以外にない。外注会社にJR本体以上にコストをかけて保守点検する条件があるはずがない。鉄道の安全は崩壊する。外注化は絶対に認めてはならないのだ。
 現場の労働者は一日も早い復旧に向けて必死に努力している。だが、会社は「変革2027」を掲げ、鉄道業務をすべて外注化してJR本体から一掃しようとしている。あらゆる責任からも逃れようとしている。外注化との闘いはいよいよ本番を迎えようとしている。
 会社はすべての外注化を撤回しろ! 要員を確保し鉄道の安全を守れ! 全面外注化・転籍強制攻撃を阻止しよう。

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