2015年5月19日火曜日

外注化阻止ニュース 第190号

http://www.doro-chiba.org/ga/gaityuuka190.pdf


安全が最深部から崩壊
山手線支柱倒壊は何を示しているのか

 重大事故が頻発しています。4月の山手線支柱倒壊事故についてJR東日本は事故の本質とは離れた表面的な原因解明に終始しています。 この事故は二つの根本的な原因があります。

◉外注化による無責任の連鎖と蔓延
 あらゆる業務をバラバラにして外注化した結果、責任の所在があいまいになり列車運行や安全について誰も責任をとれない状況になっている。

◉外注化による技術継承の崩壊
 民営化・規制緩和・外注化の結果、技術継承が崩壊した。

 第一の点について、支柱倒壊に至るまで危険は何度も察知されていたにもかかわらず誰一人として列車を止める判断ができませんでした。
 支柱が傾いていることは、工事部門・電力部門・運輸部門など複数の系統に報告されています。しかし誰も責任をもった判断をしませんでした。
 最大の原因は業務の外注化にあります。
 外注化の一番の恐さは、業務を外注化した瞬間から責任がJR本体から消えることです。しかし列車を動かしているのはJRです。外注会社が責任をとることは限界があります。
 しかも外注会社は、JRから委託費を叩かれ、限界を越えたコストカットを迫られているのが現実です。利益をあげるために業務をさらに二次、三次の請けへと投げているのです。

外注化による技術継承の深刻な崩壊

 第二の問題はより深刻です。外注化で技術継承が崩壊し、技術力が決定的に低下しています。今回の事故でも、技術力や判断力、経験をもった労働者がいない現実が示されています。
 以前であれば、運転士・車両検修・保線・電力・信通……それぞれの分野の技術継承は最優先課題でした。外注化が始まって以降、それは完全に放棄されたと言っても過言ではありません。
 外注会社には、多額の費用を注ぎ込み何年もかけて技術者を養成する余裕はありません。一方で、JR側には業務が残っていないから技術継承の前提は失われつつあります。
 事態は深刻です。いまJRは、この8~9年でほぼ二人に一人が定年退職を迎える「大量退職」に直面しています。国鉄時代から経験を積んできたベテランが最終的にいなくなります。
 JRは、この現実に追い立てられるように外注化を拡大しているのです。

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