2015年10月29日木曜日

外注化阻止ニュース 第230号

http://www.doro-chiba.org/ga/gaityuuka230.pdf


マンション傾斜問題
なぜ偽装が起きたのか
重層的な下請構造がもたらした事件

 横浜市のマンションが傾いた問題は、建物を支える基礎杭が固い地盤に達しておらず、データ改竄が明らかとなりました。
 必ずしも全容は明らかになっていませんが、設計を担当した元請けの三井住友建設がまともにボーリング調査を行わず(わずか2カ所のみ)に基礎杭を発注し、下請業者が図面通り施行したところ、コンクリ杭の長さが不足、データを改竄して工事を続行したとも報道されています。

下請には納期・費用の圧力

 杭打ち込みを担当したのは2次下請けの旭化成建材ですが、旭化成建材もまた重機を持たず実際にはさらに地元の下請業者に回しただけです。
 いざ施工段階で基礎杭の長さの不足が判明しても、ここで杭を追加発注すれば工期が1カ月以上も長くなります。「工期は延長できない」 という上からのプレッシャーは十分に予想できます。しかも元請会社のミスを指摘すれば下請業者は嫌われます。

元請ゼネコンはすべて知っている

 また建設業界は重層的な下請構造によって予算(利益)の中抜きが常識となっています。下請会社にとって予算の締め付けも大きなプレッシャーです。基礎杭の長さが不足しても追加発注は要求できません。それは下請業者の負担になりかねません。
 多くの専門家が「元請けゼネコンはすべてを知っていたはず」と指摘しています。杭打ち工事が始まり、生コン車が現場に横付けされる状 況で「延期や打ち直しは無理」としてゼネコン側の現場監督も聞かないふりをした可能性も示唆されています。
 今回の事件は、建設業界の重層的な下請構造が大きな背景にあり、担当者個人の責任に押し付ける問題ではありません。

JRの外注化の構造も同じ

 電化柱倒壊など相次ぐ事故、CTS幕張事業所の清掃不正、JRの予算締め付けと天下り役員による中抜きによる低賃金……JR東日本の外注化施策も同じ構造を生み出しています。

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